
「課題の作り方がわからない」
「作れてもいまいち面白くならない」
「自分で課題を作るコツは?」
とお悩みの方に、筆者流の課題の作り方をご紹介します。

僕はボルダリング歴7年以上、最高グレードジム初段・外岩三段です。
自分で課題を作るのはわりと得意で、調子のいいときは面白い課題が5分で作れたりします。
本記事の内容
- 面白い課題を作る6ステップ
- より簡単な課題の作り方
- 面白い課題を作るポイント
本記事を読めば簡単な課題の作り方がわかり、明日からすぐにオリジナルの課題を作れます。
面白い課題を作る6ステップ
筆者はいつも以下の6つのステップで課題を作っています。
- 想定グレードを決める
- やりたいムーブor使いたいホールドを決める
- スタートとゴールを決める
- スタートから核心、核心からゴールを繋げる
- フットホールドを足す
- 登してグレード感を調整する
②の「やりたいムーブor使いたいホールドを決める」が特に重要で、ここで課題の面白さが決まるといっても過言ではありません。

最初のうちは作るのに時間がかかってしまうかも知れませんが、慣れれば10分もかからずに課題を作れるようになりますよ♪
各ステップについて詳しく説明していきます。
ステップ①想定グレードを決める
課題を作る前に、なんとなくでいいので想定するグレードを決めましょう。
ジムでは1級を中心に触っている筆者の場合、こんな感じで想定グレードを設定しています。
- 限界ギリギリの課題を作りたい → 初段~1級想定
- 気持ちよく登って帰りたい → 2~3級想定
- アップにちょうどいい強度で作りたい → 4~5級想定

ご自身のグレードにあわせて調整してみてください。
ステップ②やりたいムーブor使いたいホールドを決める
想定グレードが決まったら、やりたいムーブor使いたいホールド、つまり課題の”核心”となる部分を決めましょう。

今回ご紹介する課題の作り方の”核心”となるポイントです!
- ランジがやりたい → 飛び出しやすいガバを選ぶ
- ヒールの練習をしたい → 手に足ヒールがしやすいホールドを選ぶ
- ピンチ力をつけたい → ピンチホールドを選ぶ
といった感じですね。
この”核心”のムーブ、ホールドによって課題の面白さが決まります。
なのでなるべくダイナミックでキャッチーなムーブや、悪めのホールドを選ぶのがオススメです。
またこのときにフットホールドと取りにいくホールドを決めておけば、次の「スタートとゴールを決める」のが少し楽になります。
ステップ③スタートとゴールを決める
核心となるムーブもしくはホールドが決まったら、スタートとゴールを決めましょう。
スタートとゴールの決め方もいくつかパターンがあります。
スタートの決め方
- セパレートスタート(左右の手で異なるホールドからスタート)にしてみる
- 地ジャンスタート(マットから助走をつけてスタートする)にしてみる
- いきなりランジやコーディネーションをしてみる
初手ランジやコーディネーションの場合、スタートを核心として課題を作りはじめることもあります。
ゴールの決め方
- 気持ちよくランジで止まるガバにしてみる
- マッチが難しいスローパーにしてみる
- しっかり距離を出さないと届かないリップ(壁のふち)ゴールにしてみる

スタート、核心、ゴールのムーブの強度を平均すると想定したグレード感になるのが理想ですね♪
ステップ④スタートから核心、核心からゴールを繋げる
スタートとゴールが決まったらこの時点で
- スタート、スタートの足、スタートからの1手
- 核心、核心の足、核心からの1手
- ゴール前の1手、ゴール前の足、ゴール
がおよそ決まっているかと思います。
あとはスタートから核心に、核心からゴールにつながるようなホールドを選んでいきましょう。

下部で使ったホールドをフットホールドとしてもう1度使うようにすればつなげやすいですよ♪
ステップ⑤フットホールドを足す
スタートからゴールまでホールドを選べたらあともう1歩で完成です!
各ムーブをなんとなくオブザベーションして「このあたりを踏めばムーブを起こせそうだな」とったところにフットホールドを足してみましょう。
下部のホールドはフットホールドとして使えるのでスタート以外は足さなくても課題としては成立するのですが、それだと意外と単純な動きになってしまいます。
あえてフットホールドを足すことで複数の選択肢が生まれるので、いくつか足してみるといいですよ♪

逆にフットホールドが多すぎると覚えるのが大変になり誰も登ってくれなくなるので、ほどほどにしておきましょうw
慣れないうちはあえてフットホールドを選ばずに「足自由」の課題にしてみるのもオススメです!
足自由の課題にするとグレード感は易しくなるので、手で使うホールドを多少悪くしても課題としては成立します。
ステップ⑥試登してグレード感を調整する
課題としては⑤までのステップで一応完成になるのですが、いざ登ってみるとそのままでは想定外の要素がいくつかでてきます。
- 想定のムーブをしなくてもホールドが取れる
- 使わなくても問題ないホールドがある
- 思いの外ホールドが悪くてムーブが起こせない
- スタートから繋げるとヨレてしまってゴール取りの距離が出せない
などなど。
最初から全てのムーブが想定通りの課題はなかなかできないので、気を取り直して各パートを調整しましょう。
ただこの時点で全てのパートをバラしてしまうと登り甲斐がなくなってしまうので、あまりにも想定とかけはなれている場合以外はそのままで大丈夫です。

よし、いい感じに調整できたぞ!
となれば課題の完成です。
あとは自分で登れるまで打ち込むもヨシ、ジムのメンバーに声をかけて一緒にセッションするもヨシ。
常設やマンスリーの課題とは違ったテイストを楽しみましょう!

自分では思いつかなかったムーブや意識していなかったコツを共有できるので、セッションはかなりオススメです。
セッションなくして上達なし!
より簡単な課題の作り方

イメージ通りの課題が作れない・・・。
上記の6ステップで上手く課題が作れないという人は、さらに簡単に課題を作る方法もあります。
同じ色のホールドだけを使う
スタートからゴールまで、同じ色のホールドだけを選んで作る方法です。
ほとんどのジムのまぶし壁では何色かのホールドがランダムにつけられています。
なので同じ色のホールドだけを選ぶと意外と課題として成立するんですね。

同じ色のホールドだけで登れるイメージが湧かないときは足自由の課題にしてみたり、同じ色のホールドをメインに他の色のホールドをいくつか足してみるといいですよ♪
セッションのメンバーで順番に選ぶ
セッションのメンバーで、スタートからゴールまで1人ずつ順番にホールドを選んで作る方法もあります。
2人目 ・・・ 2手目のホールドを選ぶ
・
・
・
○人目 ・・・ ゴールのホールドを選ぶ
といった流れですね。
ゴールまでのホールドが決まったらフットホールドをみんなで選びましょう。
もちろん足自由の課題にしてもオッケーです。
また各々がホールドを選ぶときは相談せず、独断で選ぶと思いがけないムーブが求められたりして意外と面白い課題ができたりしますよ。

各々のオブザベ力が試されます!
面白い課題を作るポイント
なるべく単調なムーブばかりの課題にならないように、筆者が課題を作るときは以下のポイントを意識しています。
- マッチできるホールドを2個以上使わない
- いろんな距離のホールドを選ぶ
- フットホールドの位置をずらす
各ポイントについて詳しく説明していきます。
ポイント①マッチできるホールドを2個以上使わない
初心者が作る課題でありがちなのが、ほとんどのホールドでマッチできてしまうパターンです。
マッチできるホールドが連続してしまうと手を進めてはマッチして・・・のくり返しで単調なムーブばかりの課題になってしまいます。
またマッチできるホールドであれば最悪フットホールドがなくても保持できてしまうので、難易度も低めになりがちです。
面白い課題を作るためにはマッチできるホールドはなるべく選ばず、選んだとしてもマッチすら難しいスローパーなどを選びましょう。
ポイント②いろんな距離のホールドを選ぶ
他に初心者が作る課題でありがちなのが、ほぼ等間隔にホールドを選んでしまうパターンです。
右手、左手と交互に同じ距離のホールドが続くと、やはり特にムーブのない単調な課題になってしまいます。
そこであえて近い位置のホールドを選んだり、1回下がるような位置のホールドを選んでみましょう。
そうすると単純に距離を出して止めればいいホールドとは違ってムーブが生まれるので、オブザベ力も必要となる面白い課題が作れます。
ポイント③フットホールドの位置をずらす
これは筆者が最近意識しているポイントです。
課題の作り方のステップ⑤で述べた「フットホールドを足す」ときにあえて踏みづらそうな位置のホールドや、踏みにくい向きのホールドを選んでみましょう。
フットホールドの位置が少し変わるだけでホールドの持ち感や負荷は大きく変わります。
その負荷をいなすために足の踏み方やムーブを試行錯誤しなければならないので、結果として予想外のムーブが生まれて面白い課題になったりします。

誰も選ばないような位置のフットホールドをあえて選んでみるといいですよ♪
面白い課題にするポイント(上級者向け)
先述した3つのポイントよりも上級者向けになりますが、以下のポイントも意識できればさらに面白い課題が作れます。
ポイント①課題の前後で傾向を変える
課題の前後、今回の課題の作り方でいえば核心の前後で傾向を変える方法です。
例えば・・・
- 前半 ・・・ スタティックでバランシーなムーブを入れる
- 後半 ・・・ ダイナミックで気持ちのいいムーブを入れる
といった具合です。「2セクションの課題」なんていったりもします。
課題の前後でテイストをがらりと変えることで人によっては「下部はできるけど上部ができない」ということが起こったり。

セッションがより楽しくなる課題ができますよ♪
ポイント②複数の使い方ができるホールドを選ぶ
これは筆者もまだ使いこなせていないのですが、1つのホールドに複数の役割を持たせる方法です。
例えば・・・
- 下部ではホールドの上面を保持する
- 上部では手を返し、アンダーに持ち替える
といった具合です。
この「持ち替え」に気付けないと次の1手が取れないので、ムーブの引き出しやオブザベ力がさらに問われる課題になります。

複数の持ち方ができるホールドがあれば積極的に使っていきましょう!
自分で課題を作れるようになればさらにボルダリングが楽しくなる
以上、「誰でも6つのステップで簡単にできる面白い課題の作り方」でした。
本記事の内容をおさらいしておきます。
- 想定グレードを決める
- やりたいムーブor使いたいホールドを決める
- スタートとゴールを決める
- スタートから核心、核心からゴールを繋げる
- フットホールドを足す
- 試登してグレード感を調整する
- 同じ色のホールドだけを使う
- セッションのメンバーで順番に選ぶ
- マッチできるホールドを2個以上使わない
- いろんな距離のホールドを選ぶ
- フットホールドの位置をずらす
- 課題の前後で傾向を変える(2セクション)
- 複数の使い方ができるホールドを選ぶ
自分で課題が作れるようになると、常設やマンスリーの課題に飽きてもモチベーションが保てるようになります。
また自分の課題でセッションを始められるので、ボルダリングがより楽しくなりますよ♪
まずはとにかく「質より量」を重視して、足自由の課題作りからはじめてみましょう。
それではまた!
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