先日行われた東京オリンピックでのスポーツクライミング。
オリンピック初種目ということで今回はスピード・ボルダリング・リードの3種複合ルールとなりました。
最後まで結果が分からない熾烈なメダル争いをくり広げた各国の選手たち。
今回は決勝進出をはたした下記の7名のうち、④~⑦の選手のシューズを紹介します。
②アダム・オンドラ(チェコ)
③ヤコブ・シューベルト(オーストリア)
④ナサニエル・コールマン(アメリカ)
⑤コリン・ドフィー(アメリカ)
⑥アルベルト・ヒネス・ロペス(スペイン)
⑦ミカエル・マウェム(フランス)

ぜひシューズ選びの参考にしてみてください♪
コリン・ダフィー選手(アメリカ)
アメリカのダフィー選手はリードの名手で、2017、2018年の世界ユース選手権では他の選手を圧倒してリードで2連覇を果たしました。
2003年生まれの18歳で、決勝進出選手の中では最年少となります。
最年少ながらかなりの実力で、あまり感情を表にださないクールな表情とその強さのギャップが印象的でした。
今大会では頭を抱えるシーンも多く、実力を出しきれていない様子でした。

3年後のパリオリンピックでは間違いなく優勝候補の1人となるでしょう!
コリン・ダフィー選手のシューズ
ダフィー選手はこちらの記事で紹介した3名と同様に、ボルダリングとリードで1足、スピードでもう1足を使いわけています。
おそらくイボルブのチームアスリートとして活動しているため、イボルブのシューズを着用していました。
ボルダリング、リード
ダフィー選手がボルダリングの3課題、リードで着用していたのはイボルブの「ニューシャーマン」というシューズです。
クライミング界の神とも呼べるクリス・シャーマの傑作モデルを、さらにアップグレードさせたフルチェンジモデル。
弱点であったトゥフックをベルクロ位置の変更、ラバー面積の拡張によって大幅にパワーアップさせています。
先端は硬く、強めのダウントゥとなっているので足型があえば最高のパフォーマンスを発揮してくれます。

幅広足の人には特に定評のあるシューズです!
スピード
スピードでは同じくイボルブの「レイブ」というシューズを着用していました。
「レイブ」はエッジングからスメアリングまで、オールラウンドに対応できるスリッパタイプのシューズです。
幅広かつ厚めのラストとアッパーで履き心地もよく、最高のフィット感を得られます。

アッパーには柔らかな本革を使用しているので、履けば履くほど足になじんでくれますよ♪
ナサニエル・コールマン選手(アメリカ)
力強い登りが印象的なアメリカの若手選手。
ボルダリングの第2課題では最大の核心である、ゴール取りと同時に右足をトゥフックするという難関ムーブを決め、ボルダリングで1位を記録しました。
スピードとリードのバランスもよく、総合成績では2位となり銀メダルを獲得しています。

現在24歳と、今後の活躍もますます期待できる選手です!
ナサニエル・コールマン選手のシューズ
コールマン選手はこれまでの4名と違い、3種のシューズを履きわけていました。
ボルダリングで1位を記録できたのは、その履きわけが功を奏したのかもしれません。
ボルダリング(第1課題)、リード
コールマン選手はボルダリングの第1課題とリードで、スカルパの「インスティンクトVSR」というシューズを着用していました。
「インスティンクトVSR」はスカルパで長年の人気を誇るモデルで、愛用しているトップ選手が多いシューズです。
足型にもクセがなく全体に剛性があり、ヒールもトゥも高い性能を有しているオールラウンドシューズです。

筆者も愛用しているシューズです。
これといった弱点がないので、あらゆるシチュエーションで活躍してくれます!
ボルダリング(第2、3課題)
コールマン選手はボルダリングの1課題目以外は同じくスカルパの「ドラゴ」を着用していました。
「ドラゴ」はインスティンクトVSRに比べるとややソフトなシューズで、立体的なクライミングで真価を発揮します。
第2課題はハリボテを横走りするコーディネーション、第3課題はハリボテをスメアリングする課題だったので「ドラゴ」を選んだのかもしれません。
またフックの性能も非常に高く、第2課題のゴール取りと同時のトゥフックを決め完登したのはコールマン選手のみでした。
スピード
コールマン選手がスピードで履いていたのは同じくスカルパの「ベローチェ」というシューズです。
「ベローチェ」の特徴は抜群の柔らかさと、片足でわずか165gという圧倒的な軽さにあります。
柔らかく軽量なので履いていてストレスがほとんどなく、足裏感覚も非常に良好。

数グラムの重さやわずかな踏み感の違いで差が出るスピードにはもってこいのシューズですね♪
アルベルト・ヒネスロペス選手(スペイン)
今大会で見事優勝を果たし、金メダルを獲得したヒネスロペス選手。
2002年生まれの19歳で、ダフィー選手の次に若い選手です。
3種目のバランスがよく、スピードでは優勝候補の楢崎選手を相手にミスなく登りきることで勝利を手にしました。

まだまだ若いので3年後のオリンピックでの連覇が期待できる選手です!
アルベルト・ヒネスロペス選手のシューズ
ヒネスロペス選手が決勝で着用したシューズは計4種と、7名の中で最多でした。
課題の傾向を理解して最適なシューズを選択できるその対応力が、優勝に導いてくれたのかもしれません。
ボルダリング(第1課題)
ヒネスロペス選手がボルダリングの第1課題で着用していたのはスポルティバの「スクワマ」です。
「スクワマ」には他のシューズにはないソールのスリットがあり、つま先の自由度を高めることで様々な形状のホールドをキャッチできます。
また柔軟性もとても高く、ハリボテもしっかり踏めるのでフットワークの幅を広げてくれます。

僕の周りにも「スクワマ」を履いている上級者は多くいます。
ボルダリング(第2、3課題)
ヒネスロペス選手がボルダリングの第2、3課題で着用していたのは同じくスポルティバの「セオリー」です。
「セオリー」は“スポルティバ史上最高の足裏感覚”と称されるほど、足裏感覚に優れたシューズです。
「D-Tech」という独自のソールラバーはダイナミックなムーブの力を逃がさず、最大のフリクションを生み出してくれます。
またトゥラバーは1㎜以下の薄さに仕上げられ、粘り強さはそのままに足の甲の感覚も鋭く素早いフックが可能。

現代クライミングでは間違いなしの高機能コンペティションモデルです!
リード
ヒネスロペス選手はこれまでの選手と違い、リードだけのシューズも用意していました。
それはスポルティバの「ソリューションコンプ」で、オンドラ選手がボルダリングとリードで履いていたのと同じシューズです。
瞬発的な動きの多いボルダリングで履いていた「スクワマ」や「セオリー」に比べ、オールラウンドな安定感があります。
リードはなるべくデッドを多用せずに力を温存しながら登らなくてはなりません。
そのためひとつひとつのムーブを確実にこなせる「ソリューションコンプ」を採用したのではないでしょうか。
スピード
ヒネスロペス選手がスピードで履いていたのは同じくスポルティバの「コブラ 4:99」です。

これもオンドラ選手と同じシューズですね!
スピードは立体的なムーブに必要なヒールやトゥのフックをすることがありません。
そのためとにかく軽量で無駄のないベルクロレスのスリッパタイプを採用している選手が多いですね。
ミカエル・マウェム選手(フランス)
フランスのマウェム選手はとにかくボルダリングが強く、予選の4課題はすべてほぼ1撃と今大会でもその強さを遺憾なく発揮していました。
またスピードでも平均以上の成績を残しており、優勝候補として注目されていました。
決勝のボルダリングでは第3課題が異次元の難易度だったため成績が横並びになってしまいましたが、課題が違っていればマウェム選手の1位通過は十分にありえたでしょう。

予選のアクシデントで決勝を棄権した兄のバッサ・マウェム選手ととても仲がよく、2人のインスタグラムでは脅威のトレーニング動画が見られますw
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ミカエル・マウェム選手のシューズ
マウェム選手は7名のうち唯一、すべての競技で同じシューズを着用していました。
ただ調べてみたのですがシューズの詳細が分からず、マッドロックのシューズであるということしか分かりませんでした。
パッと見は「ドローン」に似ていますが、おそらくマウェム選手特注のシューズなのではないかと思います。

詳細が分かる方がいましたらぜひコメントよろしくお願いします!
まとめ
以上、「東京オリンピック決勝進出選手のシューズ・後編」でした!
本記事では決勝進出者7名のうち、4名のシューズを紹介しました。
4名のシューズの比較は下記のとおりです。
ボルダリング |
リード
|
スピード
|
|||
第1課題 | 第2課題 | 第3課題 | |||
コリン・ダフィー | ニューシャーマン | レイブ | |||
ナサニエル・コールマン | インスティンクトVSR | ドラゴ | インスティンクトVSR | ベローチェ | |
アルベルト・ヒネスロペス | スクワマ | セオリー | ソリューションコンプ | コブラ 4:99 | |
ミカエル・マウェム | マッドロック? |

前編の3名に比べ、課題や種目ごとの履きわけが目立ちますね。
また機会があれば他の選手の着用シューズも紹介します。
それではまた!
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